宅建の出題範囲である宅建業法の学習にて、クーリング・オフのテーマがあると思いますが、その中で、宅建業者と買主の取引における、買主の親類宅で買受けの申込をした場合、クーリング・オフが適用されてしまうかどうか、悩まれた経験はございませんか?
私も過去に宅建の勉強をしていた際に、迷ったことがありますが、あまり検索をしても、的確な答えが見つからなかったため、当時はそこまで深く追求してなかったのですが、少し気になったため、考えてみたいと思います。
宅建業者の相手側が自ら相手方の自宅又は勤務先で、買受けの申込を行った場合は、原則クーリング・オフの適用がない認識だが・・・
▼例題
宅建業者Aと買主Bの建物の媒介契約締結において、宅建業者Aではなく、宅地建物取引業者ではない買主Bの申し出により、買主Bがその親類宅で、宅建業者Aから建物に関する説明を受けて買い受けの申し込みをした。その翌日、宅建業者Aの事務所で売買契約が締結された場合、買主Bは、クーリングオフによる契約の解除をすることができるか?
私が勉強していた際、答えは、買主Bは、クーリングオフによる契約の解除をすることができる認識でした。
理由としては、買主が買受の申込を行う場所として、自ら申し出た場所が、相手方の自宅又は勤務先ではないからという考えです。
もしこれが、宅建業者の相手側が自ら相手方の自宅又は勤務先で、買受けの申込を行った場合は、原則クーリング・オフの適用がない認識ですが、親類宅の場合は…。というところが悩ましいところですね。
おそらくテキストなどでも、クーリングオフの適用がない事務所等として、この宅建業者の相手側が自ら相手方の自宅又は勤務先で、買受けの申込・説明を受ける旨を申し出た場合、その後契約をした事務所も含まれるような記載がされていると思います。
そう考えると、上記の場合、買主Bは、クーリングオフによる契約の解除をすることができるという答えが導けるのですが、「自分の自宅は適切で、親類宅は不適切なの?」という疑問も完全には捨てきれません。
このクーリングオフの適用がない事務所等のパターンって、私の認識が間違っておりましたら、申し訳ありません、宅建業法の第三十七条の二等で直接的に明記されていない内容だった気がして、当時は深く追求するのを諦めていましたね…(学習能力が低い( ;∀;))。
ただ、私の個人的な見解としては、買主Bがその親類宅で、宅建業者Aから建物に関する説明を受けて買い受けの申し込みをした場合は、クーリングオフによる契約の解除をすることができるのではないかと考えております。
クーリング・オフが適用されない場合の重要な点としては、宅地建物取引業者ではない買主が冷静な判断ができる場所で、申込を行ったか否かの認識です。そう考えると、確かに親類宅は落ち着いて冷静な判断はできる場所とは言えないのかな…という考えですね。
またよく調べてみると、宅地建物取引業法施行規則 第16条の5第2号に、気になる条文を見つけました。
第十六条の五 法第三十七条の二第一項の国土交通省令・内閣府令で定める場所は、次に掲げるものとする。
一 次に掲げる場所のうち、法第三十一条の三第一項の規定により同項に規定する宅地建物取引士を置くべきもの
イ 当該宅地建物取引業者の事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するもの
ロ 当該宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲を案内所(土地に定着する建物内に設けられるものに限る。ニにおいて同じ。)を設置して行う場合にあつては、その案内所
ハ 当該宅地建物取引業者が他の宅地建物取引業者に対し、宅地又は建物の売却について代理又は媒介の依頼をした場合にあつては、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者の事務所又は事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するもの
ニ 当該宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介の依頼をし、かつ、依頼を受けた宅地建物取引業者がその代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあつては、その案内所
ホ 当該宅地建物取引業者(当該宅地建物取引業者が他の宅地建物取引業者に対し、宅地又は建物の売却について代理又は媒介の依頼をした場合にあつては、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者を含む。)が法第三十一条の三第一項の規定により同項に規定する宅地建物取引士を置くべき場所(土地に定着する建物内のものに限る。)で宅地又は建物の売買契約に関する説明をした後、当該宅地又は建物に関し展示会その他これに類する催しを土地に定着する建物内において実施する場合にあつては、これらの催しを実施する場所
二 当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあつては、その相手方の自宅又は勤務する場所※出典:宅地建物取引業法施行規則 | e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50004000012)
宅地建物取引業法施行規則 第16条の5第2号にある通り、事務所等(法第三十七条の二第一項の国土交通省令・内閣府令で定める場所)として、「当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあつては、その相手方の自宅又は勤務する場所」が該当すると解釈できそうです。
つまり、「親類宅」は該当しないので、前述の例題で言うと、あくまで個人的な見解ですが、やはり買主Bは、クーリングオフによる契約の解除をすることができるのではないかと考えます。