簿記2級の工業簿記を学習を進めているときに、[勘定科目:製造間接費]を[勘定科目:仕掛品]に振り替える仕訳が出てきて、疑問に感じた方もいらっしゃると思います。特に、製造間接費の予定配賦のところで、疑問に思うケースが多いと思います。
仕訳としては、以下のような感じです。
仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx
おそらくその理由が、「[勘定科目:仕掛品]に振り替えることができるのは、直接材料費や直接労務費、直接経費などの製造直接費だけではないの?製造間接費と仕掛品は別物だよね?」、「[勘定科目:仕掛品]と[勘定科目:製造間接費]は、干渉しないのでは?」などだと思います。
そうですよね。私も実際に勉強しているときに、疑問に感じたことがありました。私自身も理解に時間がかかりましたが、この部分をしっかり理解できたからこそ、簿記2級を果たすことができたと考えております。
今回は、この部分に関して、簿記2級に勉強中に、どのように考え、整理していたのか、私なりのイメージで、解説していければと考えております。
製造直接費と同様に、製造間接費も最終的に仕掛品への振替が必要
「製造直接費と同様に、製造間接費も最終的に仕掛品への振替が必要」を理解するためには、製造直接費と製造間接費の違いから、しっかりおさえていく必要があると考えております。
製造原価を材料費、労務費、経費に分けた場合、製造直接費と製造間接費は以下のような定義になると思います。
- 製造直接費:A製品にいくらぐらい、どのくらい使ったかどうか、はっきりと分かる(直接的に把握できる)原価。例えば、木材とか直接工の直接作業分の賃金など。
- 製造間接費:A製品にいくらぐらい、どのくらい使ったかどうか、はっきりと分からない(直接的に把握できない)原価。例えば、椅子の塗装に使うペンキとか、間接工の賃金など。
材料や直接労務費などの製造直接費に関しては、仕掛品に振り替えるイメージがつくと思います。
①仕掛品 xxx / 材料 xxx
という感じですね。
例えば、当月の間接工の賃金を計上した場合、以下のようになると思います。なお、間接工賃金に関する情報としては、当月支給額:50,000円、当月未払額:5,000円、前月未払額:3,000円とします。
②製造間接費 52,000 / 賃金 52,000
このように、②の場合は、仕訳として、借方に[勘定科目:仕掛品]を持ってこずに、まず、[勘定科目:製造間接費]を持ってきています。
間接労務費にあたる労務費、例えば、間接工の賃金とか、直接工かつ間接作業分とか、給料とか、いわば、「どれにどれだけ使ったか分からない、はっきりしないもの」は、[勘定科目:製造間接費]で、一旦保留にしているようなものです。
例えば、椅子を製造していて、その椅子の組み立てをしている直接工の直接作業分は、どの製品のために、どれだけ作業をしたのか、はっきり分かりますが、ベルトコンベアのメンテナンスや作業場所の清掃作業などの間接労務費にあたる部分は、どの製品にどれだけ(その作業がどれだけその椅子の製造に貢献したのかみたいな)というのが、はっきり分かりません。
ですので、まずざっくりと[勘定科目:製造間接費]として、まるっと計上して、最終的に、[仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx]という形で、仕掛品に振り替えて、原価を計上しましょうね、という流れでイメージすると分かりやすいと思います。
なので、製造間接費の場合は、仕訳の流れとしては通常(実際配賦)以下のようになります。
- 製造間接費 xxx/ 賃金 xxx
- 仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx
ここまでが、通常の場合、つまり、製造間接費の実際配賦を行う場合です。
ここからが少しややこしいのですが、問題はおそらく、製造間接費の予定配賦ですよね。私も当時理解するのに時間がかかりました…。
製造間接費の予定配賦の場合は、最終的に以下のような仕訳となります。
仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx
そうです。先ほどまで、同じタイミングの仕訳として、[勘定科目:仕掛品]と[勘定科目:製造間接費]が一緒に登場することはなかったのですが、この予定配賦では、[勘定科目:仕掛品]と[勘定科目:製造間接費]が同じタイミングで、仕訳に登場するのです。
その理由は、製造間接費の予定配賦が製造間接費の実際配賦とは違い、大まかに計上する方法(予定配賦率に基づき)だからです。(※実際は異なりますが、あくまでイメージです。)
製造間接費の実際配賦を行えば、正しい金額で、製造間接費を配布することができるのですが、この製造間接費の実際発生額が分かるまで、時間がかかってしまうことが多く、それだと、原価計算が終わるのに、時間がかかってしまいます。
簡単なイメージとしては「今、製造原価を知りたいけど、製造間接費の実際発生額がまだはっきり分からないから、今すぐに計算できない…」という状況です。
それに対し、製造間接費の予定配賦に関しては、予定配賦率を用いて、計算することができるので、前述の製造間接費の実際配賦の時のように、時間がかかることがなく、スムーズに計算できます。なので、実務ではこの予定配賦が割と主流だったりするわけです。
なので、製造間接費の実際配賦では、
- 製造間接費 xxx/ 賃金 xxx
- 仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx
というように、2段階の仕訳を踏んでおりましたが、製造間接費の予定配賦では、
- 仕掛品 xxx / 製造間接費 xxx
一旦、製造間接費を借方計上する必要はなく、いきなり、仕掛品を借方計上、製造間接費を貸方計上でよいわけです。
なので、製造間接費の予定配賦は、予定配賦率に従って、ざっくり計算したようなものなので、月日が経つと、実際に発生した、製造間接費の実際発生額が分かってきます。先に計上しておいた製造間接費の予定配賦額と実際発生額の差分を出す。
それが配賦差異ですね。
予定配賦額が7,500,000円で、実際発生額が7,600,000円だったら、7,500,000 – 7,600,000 = △100,000で、借方差異なので、
配賦差異 100,000 / 製造間接費 100,000
となります。
要は、本来なら、100,000円分、製造間接費がもっとかかっていたというようなイメージです。
まとめ
製造間接費に関しては、実際配賦と予定配賦で、考え方が少し異なるため、まず通常の実際配賦の仕組み等をしっかり理解したうえで、予定配賦の仕組みを追うと、少し理解が進みやすいかと思いますので、まずは、製造間接費→仕掛品という、勘定連絡図上の流れ等をしっかりイメージできるようにすることが重要だと思います。



