Excelで「掛け算」を使う場面は、実務でも学習でも非常に多いですよね。単価×数量、金額×税率、係数を使った計算など、日常的に登場する計算方法です。
一方で、「*(アスタリスク)で書くのが正解?」「PRODUCT関数はいつ使うの?」といった疑問を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。計算はできているように見えても、コピーすると結果が崩れたり、思わぬミスにつながることもあります。
この記事では、Excelで掛け算を行う基本的な考え方から、演算子「*」とPRODUCT関数の使い分け、実務で失敗しないためのポイントまでを丁寧に解説します。掛け算で迷わないための判断基準を、ここでしっかり整理していきましょう。
Excelで掛け算を行う方法の全体像
Excelで掛け算を行う方法は、一見するととてもシンプルに見えます。実際、「数値×数値」という計算自体は難しくありませんよね。
しかし、実務でExcelを使っていると、「どの書き方が正解なのか分からない」、「関数を使うべきなのか迷う」と感じる場面が必ず出てきます。
この混乱が生まれる理由は、Excelには掛け算を行う方法が1つではないからです。
Excelの掛け算は「演算子」と「関数」がある
Excelで掛け算を行う方法は、大きく分けて次の2つがあります。
- 演算子「*(アスタリスク)」を使う方法
- PRODUCT関数を使う方法
たとえば、セルA1とB1を掛け算したい場合、最も基本的なのは次の書き方です。
=A1*B1
一方で、PRODUCT関数を使うと、次のようにも書けます。
=PRODUCT(A1,B1)
結果はどちらも同じになりますが、使いどころはまったく同じではありません。
「* で十分な場面」と「PRODUCT関数を使った方が安全な場面」があり、ここを理解していないと、あとから計算ミスや修正漏れにつながりやすいんですね。
なぜ掛け算でつまずく人が多いのか
Excelの掛け算でつまずく原因は、計算そのものではなく、周辺のルールや挙動を理解していないことにあります。
よくあるのは、次のようなケースです。
- 数式をコピーしたら、計算結果が崩れた
- 見た目は数字なのに、計算されない
- 関数を使うべきか「*」で書くべきか判断できない
これらはすべて、Excel特有の参照ルールやデータの扱いが関係しています。
逆に言えば、掛け算の基本と考え方を一度整理してしまえば、「どの方法を使えばいいか」で迷うことはほぼなくなります。
次の章では、まず最も基本となる「*(アスタリスク)」を使った掛け算の方法から、順番に見ていきましょう。
最も基本的な掛け算の方法(* 演算子)
Excelで掛け算を行ううえで、まず最初に覚えておきたいのが、演算子「*(アスタリスク)」を使う方法です。
結論から言うと、ほとんどの掛け算は「*」で問題ありません。 まずは、この基本形をしっかり押さえておきましょう。
セル同士を掛け算する基本式
最もシンプルなのは、セルに入力されている数値同士を掛け算する方法です。
たとえば、セルA1に「10」、セルB1に「5」が入力されている場合、次のように書きます。
=A1*B1
これだけで、A1とB1の値を掛け算した結果が表示されます。
Excelでは、必ず数式の先頭に「=」を付ける点に注意してくださいね。 「A1*B1」とだけ入力すると、計算は行われません。
数値とセルを掛け算する方法
実務では、「セルの値 × 固定の数値」という計算もよく使います。
たとえば、セルA1の金額に消費税10%を掛けたい場合は、次のように書けます。
=A1*0.1
あるいは、税込金額を求めたい場合であれば、
=A1*1.1
と書くことも多いですね。
このように、セルと数値の掛け算も「*」で直感的に書けるのが、この方法のメリットです。
掛け算の数式をコピーするときの注意点
「*」を使った掛け算で、最もつまずきやすいのが数式のコピーです。
たとえば、次のような式を下方向にコピーしたとします。
=A1*B1
すると、コピー先では次のように自動で変化します。
=A2*B2
これはExcelの相対参照という仕組みによるものです。
もし「B列は固定したい」という場合は、絶対参照を使う必要があります。
=A1*$B$1
このように「$」を付けておくと、数式をコピーしても参照先が変わりません。
掛け算そのものよりも、この参照ルールでミスが起こるケースが非常に多いため、必ず一度は確認しておきましょう。
次は、演算子「*」とは別の方法である、PRODUCT関数を使った掛け算について解説します。
PRODUCT関数で掛け算を行う方法
Excelで掛け算を行うもう一つの方法が、PRODUCT関数を使うやり方です。
「掛け算なら * で十分では?」と思う方も多いかもしれませんが、PRODUCT関数が向いている場面もあります。
PRODUCT関数の基本構文と考え方
PRODUCT関数は、指定した数値やセル範囲をすべて掛け合わせる関数です。
基本的な構文は次のとおりです。
PRODUCT(数値1, 数値2, …)
たとえば、セルA1とB1を掛け算する場合は、次のように書けます。
=PRODUCT(A1,B1)
結果は「=A1*B1」と同じになりますが、複数の値をまとめて扱えるのが大きな特徴です。
複数セルをまとめて掛け算する使い方
PRODUCT関数が本領を発揮するのは、複数のセルを一度に掛け算したい場合です。
たとえば、A1〜A5に数値が入力されており、それらをすべて掛け合わせたい場合は、次のように書けます。
=PRODUCT(A1:A5)
これを「*」で書こうとすると、
A1*A2*A3*A4*A5
となり、数が増えるほど管理が大変になりますよね。
PRODUCT関数を使えば、範囲指定だけで簡潔に書けるため、式の見通しもよくなります。
PRODUCT関数が向いているケース
PRODUCT関数は、次のような場面で特に有効です。
- 掛け算するセルの数が多いとき
- あとからセルの数が増減する可能性があるとき
- 数式をできるだけシンプルに保ちたいとき
一方で、単純な「セル × セル」の計算であれば、無理にPRODUCT関数を使う必要はありません。
「使えるから使う」のではなく、「必要な場面で使う」という意識が大切です。
次の章では、「*」とPRODUCT関数をどのように使い分ければよいのかを、実務目線で整理していきます。
* と PRODUCT関数の使い分け
ここまで、「*(アスタリスク)」とPRODUCT関数の使い方を見てきましたが、実務で迷いやすいのが「結局どちらを使えばいいのか」という点です。
結論から言うと、用途によって使い分けるのが正解です。
単純な計算に向いている方法
次のようなケースでは、演算子「*」を使うのが最も分かりやすく、ミスも起こりにくいです。
- セル同士を1対1で掛け算する
- セルと固定の数値を掛け算する
- 計算式が短く、構造が単純な場合
たとえば、単価と数量を掛けるだけであれば、次のような式で十分です。
=A1*B1
このようなシンプルな場面では、わざわざ関数を使うメリットはほとんどありません。
実務でミスを減らせる方法
一方で、次のようなケースではPRODUCT関数を使った方が安全です。
- 掛け算するセルの数が多い
- あとから項目が増減する可能性がある
- 数式を見ただけで意図を分かりやすくしたい
たとえば、複数の係数や補正値を掛け合わせる場合、次のように書けます。
=PRODUCT(A1,A2,A3)
この形であれば、「これらをすべて掛け合わせている」ことが一目で分かりますよね。
「計算結果」だけでなく「数式の読みやすさ」も、実務では重要です。
迷ったときは、次の基準で判断すると失敗しにくくなります。
- 短く書けるなら「*」
- 整理して書きたいならPRODUCT関数
次は、実際の業務でよく使われる掛け算の具体例を見ていきましょう。
実務でよく使う掛け算の具体例
ここからは、Excelの掛け算が実際の業務でどのように使われているかを、具体例で見ていきます。
「計算自体は分かるけれど、実務でどう書けばいいか不安」という方は、ぜひこの章を参考にしてみてくださいね。
単価 × 数量の計算
最もよく使われるのが、単価と数量を掛け算して金額を求めるケースです。
たとえば、セルA1に単価、セルB1に数量が入力されている場合、式は次のようになります。
=A1*B1
この形は見積書・請求書・発注書など、さまざまな場面で使われます。
行が増える場合でも、数式をコピーするだけで対応できるため、実務では最も基本となる書き方です。
金額 × 税率の計算
次によく使われるのが、金額に税率を掛ける計算です。
たとえば、セルA1に税抜金額が入っている場合、消費税額を求める式は次のようになります。
=A1*0.1
税込金額を求めたい場合は、
=A1*1.1
と書くことが多いですね。
税率が変わる可能性がある場合は、税率を別セルに入力して掛け算すると管理しやすくなります。
=A1*B1
(B1に税率を入力)
割合・係数を使った計算
Excelでは、割引率・増減率・係数などを掛け算で処理するケースもよくあります。
たとえば、10%割引後の金額を求めたい場合は、次のように書けます。
=A1*0.9
また、複数の係数をまとめて掛け算したい場合は、PRODUCT関数が便利です。
=PRODUCT(A1,B1,C1)
このように、掛け算は単純な計算だけでなく、条件や補正を加える場面でも頻繁に使われます。
次の章では、「計算結果がおかしい」「掛け算がうまくいかない」といったトラブルの原因と対処法を整理します。
掛け算がうまくいかない原因と対処法
Excelで掛け算をしていると、「数式は合っているはずなのに結果がおかしい」「なぜか計算されない」といったトラブルに遭遇することがあります。
こうした問題の多くは、掛け算そのものではなく、Excel特有の仕様やデータの状態が原因です。
計算結果がおかしいときのチェックポイント
まず確認したいのが、参照しているセルの中身です。
- 本当に数値が入っているか
- 空白セルや不要な文字が混ざっていないか
- 数式の参照先が意図したセルになっているか
見た目が数字でも、実際には文字列として扱われているケースは意外と多いんですよね。
文字列として認識されている値は、掛け算しても正しく計算されません。
参照ズレ・絶対参照の考え方
数式をコピーした際に結果が崩れる場合は、参照ズレが原因であることがほとんどです。
たとえば、次の式をコピーすると、参照先が自動的に変わります。
=A1*B1
特定のセルを固定したい場合は、絶対参照を使います。
=A1*$B$1
「F4キー」を使えば、「$」の付け外しを簡単に切り替えられるので、覚えておくと便利ですよ。
文字列が混ざっている場合の対処
数値が文字列になってしまう原因には、次のようなものがあります。
- 数値の前後に空白が入っている
- 全角文字が含まれている
- インポートしたデータの形式が文字列になっている
このような場合は、VALUE関数を使って数値に変換できます。
=VALUE(A1)
また、セルの表示形式を「標準」や「数値」に変更するだけで解決することもあります。
掛け算がうまくいかないときは、数式だけでなく、データの状態も必ず確認するようにしましょう。
Excelで掛け算を使いこなすためのポイントまとめ
ここまで、Excelで掛け算を行う方法について、基本から実務的な使い分けまで見てきました。
最後に、「これだけは押さえておきたいポイント」を整理しておきましょう。
初心者がまず覚えるべき書き方
これからExcelで計算を始める方は、まず次の書き方を確実に身につけてください。
- 掛け算は基本的に「*(アスタリスク)」を使う
- 数式の先頭には必ず「=」を付ける
- セル参照がずれる可能性がある場合は絶対参照を使う
たとえば、単純な掛け算であれば、次の式で十分です。
=A1*B1
この形をベースに、必要に応じて応用していくのが、最も安全な進め方です。
迷ったときの判断基準
「*」とPRODUCT関数のどちらを使うか迷ったときは、次の基準で判断すると失敗しにくくなります。
- 短く・分かりやすく書けるなら「*」
- 複数の値をまとめて扱うならPRODUCT関数
無理に関数を使う必要はありません。 大切なのは、「あとから見たときに分かりやすいかどうか」です。
掛け算はExcelの基本中の基本ですが、実務ではミスが許されない計算でもあります。
今回の内容を押さえておけば、掛け算で迷ったり、計算ミスに悩まされることは大きく減るはずですよ。




